Mose's Diary

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アメリカ大学院PhDプログラム出願に必要なもの

アメリカ大学院PhDプログラム出願に必要なもの この記事では、アメリカの大学院 博士課程(PhDプログラム)への出願の際に、どのようなものが必要で、どのように準備をしたか、を書きたいと思います。

大学院留学に興味があるけど具体的にどういうことをすれば良いのかわからない、と思っている方々が見て参考になれば幸いです!

※ 大学院留学するメリットや、合否に直結する重要なポイント(ex. 奨学金、研究室訪問、コンタクト、研究実績等)などは、この記事には書ききれないので、別の機会に書きたいなと思ってます。

自己紹介と出願した経緯と結果

私は、筑波大学 情報学群 情報メディア創成学類を卒業し、2018年秋にコーネル大学 情報科学専攻 博士課程 (the Information Science PhD program at Cornell University)へ進学するものです。

学部1年生の時に、とある大学院留学説明会の動画を見て大学院留学に興味を持ちました(めちゃくちゃ説明がわかりやすいのでおすすめです)。その後、学部2年生から3年間、落合陽一先生のDigital Nature GroupにてHCI系の研究をしていました。学部4年生の春に、本格的に英語テストを受けたり出願書類を準備し始め、最終的に12月に、8校の大学院の博士プログラムに出願をしました。

出願した大学院プログラムのうち、Cornell University と Georgia Institute of TechnologyのPhDプログラムから合格通知をいただきました。合格をもらった大学院は2校でしたが、どちらも世界トップクラスであり設備が充実している大学で、一流のFacultyがいるプログラムでした。その一方で、出願に際して反省すべき点もあったため、そういった観点でも書かせていただきたいと思います。

アメリカの大学院入試に関して

アメリカの大学院入試は、日本のものとは大きく異なります。例えば、日本の大学が個別で用意するようなペーパーテストはないです。その代わりに、CVや英語スコア、成績証明書等の出願書類を提出し、大学側で総合的に評価され合否が決まります。評価の仕方は大学によって異なりますが、日本のように配点があらかじめ決まっているという感じではなく、あらゆる観点から総合的に判断されます。ですから、ある部分でいまいちであっても、他の部分が特別に秀でていれば大丈夫ということもあります。(例えば、成績は微妙だけど研究実績がすごい、など)

出願の際には、現地に行く必要がなく、英語スコアや成績証明書などの一部を除く、ほぼ全ての書類をオンライン上で提出するだけです。大学によっては、提出後に教授や学生との面接が何回かあり、最終的に合否が出ます。現地に行く必要がないということもあって、何校でも併願することができます。一方で、人気のある大学院PhDプログラムは、倍率が30~50倍あるところも少なくなく、ネイティブだけでなく世界中から優秀な学生が受験するため、厳しい戦いになります。よって、10校ほど受ける人も珍しくありません。

金銭面でも、日本とアメリカの博士課程では大きく違います。アメリカのPhDプログラムでは、財政支援が充実しています。学費($30000以上)だけではなく生活費(月$2000以上)の支援が付いてくる場合がほとんどです。そういった点でも、アメリカの大学院に行くメリットは大きいと思います。

出願までのスケジュール

f:id:s_mose:20180413193118p:plain 私が実際に出願するまでに、いつ頃に何をしていたかを図にしてみました。(クリックで拡大できます)

論文執筆や海外で学会発表など、研究に時間が使うことが多く、英語対策や書類作成が直前までもつれ込みました。そうならないためにも、早め早めの情報収集や取り掛かりが必要です。出願前の2年前には、本格的に準備し始めると良いと思います!

出願に必要なもの

英語スコア

日本人にとって海外大学院出願の大きな障壁の一つになるのが、英語のスコアです。トップスクールと言われている大学院プログラムでは、英語スコアで高得点を要します。しかしながら、足きり点さえ超えていれば良い、とも言われていますので、大学の設定するミニマムスコアを確実に超えることを目標に頑張ってください。

アメリカ大学院のほとんどが、TOEFL iBTとGREテストのスコアを要求します。分野やプログラムによってはプラスアルファでSAT, GMAT等のテストを要求する場合や、TOEFLの代わりにIELTSを要求する場合があるようですが、少なくとも私の受験したCS, IS系のプログラムは、TOEFL iBTとGRE(General)のみでした。

これらのスコアは、大学が指定する住所に郵送する必要があるため、スコアが公開されるタイミングや郵送時間などを考慮して、締め切りに間に合うように気をつけてください。

TOEFL iBTは、Reading, Listening, Writing, Speakingセクションに分かれます。各セクション30点ずつで120点満点です。ほぼ毎週開催していて、何回でも受験が可能です。ただし、受験料が$235というかなりの高額です。

出願に必要なTOEFL iBTミニマムスコアは、大学院のプログラムによって違いがあります。例えば、Stanford CS, MIT EECS, CMU HCIなどのPhDプログラムが要求する TOEFL iBTのミニマムスコアは100点でしたが、UC Berkeley EECS, Georgia Tech CCは90点でした。また、Cornell ISは、各セクションごとにミニマムスコアが設けられていました。

このミニマムスコアは、恐らくかなり厳格で、よっぽどのことがない限り(他の出願書類でめちゃくちゃ秀でているなど)、足切りをされると思うので、行きたい大学院プログラムのミニマムスコアを確実に取れるようにスケジュールを組みましょう!例えば、Stanford CSの場合、まず書類を見られて英語スコア等で足切りをしてから、教授に書類が回ってくるという話を何人かから聞きました。事前にコンタクトを取っていても、足切りにひっかると、その先生の目にも届かない、なんてことがあるので、頑張ってミニマムスコアを超えましょう。

と、偉そうに書いておきながらですが、私の場合、出願の年の2月からTOEFL iBTを受け始めるなど、かなり準備が遅れてしまいました。そのせいで、100点には届かず、91点という微妙な点数を提出することになりました...。合否結果にかなり影響を与えたと考えていますので、この記事を読んでいる皆さんには、必要な英語スコアを取るために早め早めに準備を始めることをお勧めします。

参考までに、(恥ずかしいですが)私のTOEFLスコアの推移を書き記したいと思います。
2017年2月  69/120 (R: 18, L: 13, S: 19, W: 19)
2017年6月  76/120 (R: 16, L: 19, S: 20, W: 21)
2017年9月  85/120 (R: 23, L: 21, S: 20, W: 21)
2017年10月 91/120 (R: 24, L: 23, S: 20, W: 24)

出願の年に、TOEFL iBTを受けて勉強し始めるとかなり厳しいスケジュールになり、私のようにいくつかの出願先のミニマムスコアに届かないという状況になりかねます。 学部の後に留学を考えている方は学部3年の早いうち、修士の後に考えている方は修士1年の早いうちに、1度TOEFL iBTを受験して、自分がどのくらい取れるのかを把握し、ミニマムスコアをクリアするための計画を立てることをお勧めします!

GRE(Graduate Record Examination)という英語試験のスコアも必要です。この試験には、Quantitative Reasoning(数学)、Verbal Reasoning(言語)、Analytical Writingの三つのセクションがあります。

この試験は、留学生だけではなく、アメリカ人も共通して受ける試験です。そのため、Verbalの難易度は高く、要求する語彙力はめちゃくちゃハイレベルです。日本人にとって、このセクションでハイスコアを取るのはかなり難しいです。しかし、留学生に対してはVerbalセクションでの高いスコアは求められていない場合が多いみたいです。そのため私は、このセクションは確率論に任せるという諦めをして、他のセクションに集中することにしました。

一方で、Quantitative Reasoning(数学)セクションは比較的簡単で、理系の方なら1ヶ月程度の勉強で、満点近くを取ることができるぐらいの難易度です。(私の場合は、1週間ほどの勉強で1回だけの受験しかできず、160/170でした...orz)

教材は、MagooshのGRE Prepというものがお勧めです!半年プランで$150ほどはするのですが、このサイトで提供されている問題集と動画解説は質が高く、過去問とこのサイトだけで高得点を取れると思います!

※ 学科やプログラムによっては、GRE Generalとは別に、GRE Subjectというものを課す場合がありますので注意が必要。

推薦状 (Letters of Recommendation)

推薦書は、出願者がどう評価されているかを客観的に示せる書類になるので、この内容は選考において非常に重要視されていると思います。

その学生は主体的に動くことができるのか?CVに書かれている研究実績にどれぐらい貢献したのか?などは、学生を取る側の教授たちが非常に関心があるところです。

そういったことを具体的に書いてもらう必要があるため、自分のことをよく知っていて、なおかつ信頼できる方に頼むのが良いです。一緒に研究をした経験があり、その研究論文が採択されたことがあるような人が、1人はいると良いと思います。

推薦書は、基本的に3通書いてもらう必要があります。卒研や修論の指導教官、良い成績をとった授業の先生、インターン先の人、共同研究先の研究者などに頼むのが一般的です。最低2通は、教授などアカデミックの研究者に頼むのが良いかと思います。自分のことをよく知っていて高く評価してくれる人を3人も見つけるのは大変だと思うので、早いうちから推薦状を誰に書いてもらうかを意識すると良いと思います。

国際学会に参加して有名な先生とコネクションを作ってお願いするっていうこともありかと思います。一番強い推薦状をもらうには、行きたい研究室にインターンをし、その研究室の先生に推薦状を書いてもらうという方法です。(なかなかできることではありませんが…) 私は、指導教員、学類(学部)長、受けた授業の担当教員(StanfordでPhDをとった方)の3人にお願いをしました。

また、推薦状を書いてもらうのは時間がかかるので、数ヶ月前には依頼をして、準備をしてもらう方が良いと思います。海外留学に関してあまり詳しくない先生方もいるので、入試システムに関して十分に説明をし、どのような推薦状を書いて欲しいのか、を伝えることが大事です。

エッセイ(Statement of Purpose)

Statement of Purpose(SoP)というエッセイを提出する必要があります。いわゆる志望理由書のようなものです。その大学にいってどうしても研究したい、という自分の熱い気持ちを伝えます。

内容としては、

  • 今まで何をしてきたのか
  • その大学やプログラムである必要は何か
  • その大学やプログラムで何を学び研究したいのか
  • 博士取得後の自分の将来の目標は何か

などを、A4用紙1~2ページほどで書きます。

構想を練った後、執筆→添削→執筆→添削を繰り返して、最善のものに仕上げます。教授、現地のPhDの学生、ネイティブの方など色んな人に見てもらってアドバイスをもらいましょう。私は直前にはじめてバタバタと書くことになって大変だったので、半年ぐらい前から取り掛かることをお勧めします。

また、その大学院プログラムにいる一緒に研究したい先生の名前をあげると、その先生に書類を見てもらえる可能性が上がると思います。例えば以下のような感じです。

At (university), there are several professors whose projects are especially interesting to me: Profs. (name), (name), and (name).

ネットで探すと、実際に出願した学生がSoPを公開していて、とても参考になります。

成績証明書 (Transcripts)

所属しているまたは過去に所属していた、大学や大学院の成績証明書を提出しなければいけません。

難易度の高いプログラムでは、GPAが3.0や3.2以上ないと出願できない場合もあります。また、そういったプログラムの合格者平均はかなり高い(3.8以上とか?)ようなので、日頃からGPAを高くキープできるように心がけることが必要です。

GPAは、もちろん高いに越したことはありませんが、仮にそこまで高くなくても、極端に低すぎず他の部分で勝負できれば問題ないと思います。また、専門科目を重要視されることがあるので、仮に他の科目が低くても、専門科目が良ければ良いと思います。

基本的には、オンラインのみで提出ですが、稀に大学への郵送が必要な場合がありますので、各プログラムの要件をチェックするようにしてください。

履歴書 (CV)

CVには、学歴/研究歴/インターン歴/採択論文リスト/受賞歴/スキル/奨学金などをまとめます。

見栄えの良いCVにするためにも、しっかりと研究やコンペなどで実績を出すことを心がけてください。

CVも、アメリカの学生に知り合いがいれば、体裁が整っているかを見てもらうと良いと思います。

参考までに、実際に私が大学院に提出したCVを載せておきます。

役立つリンク

http://www.pgbovine.net/grad-school-app-tips.htm
http://pgbovine.net/PhD-application-tips.htm/
↑UC San Diegoの助教が、教授たちは出願書類を実際にどう見るか、などを詳細にまとめてくれている。

www.cs.cmu.edu ↑こういうSoPはダメだよ、っていうのがまとめられている。

www.funaifoundation.jp ↑Funai Overseas Scholarshipという奨学金の とあるページだが、ここにはアメリカ大学院に合格した人たちが書いた沢山の体験談を読むことができ、非常に参考になる。

まとめ

ここまで、アメリカの大学院博士課程への出願に必要な書類(英語スコア・推薦状・エッセイ・成績証明書・履歴書)について説明してきました。

アメリカの大学院出願は決して楽な選択肢ではありません。

これらの書類準備に加え、出願のための情報収集、奨学金申請、教授とのコンタクト、卒論・修論などの研究など、やるべきことが他にたくさんあります。

それでも、憧れの大学院や研究室で研究するという夢があれば、努力する価値が十分にあります!仮に成功しなかったとしても、出願のプロセスで色んなこと(英語力、研究実績、精神力など)が身につくので決してマイナスになることはないでしょう。

時には心折れそうになることもありますが、諦めず出願まで走り抜けばきっと良い結果が付いてくるはずです!!信じて頑張ってください:)

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